高級ブランド品のリメイクや仕上げ直しは、「ブランドの品格を損なわず、むしろその価値を高める」

この度は、ルイヴィトンのモノグラムチェーンネックレスのロジウムメッキ新品仕上げをご依頼いただき、誠にありがとうございました。
ご依頼いただいたアイテムは、ルイ・ヴィトンの中でも特に人気の高い、太めのチェーンにアイコンである「モノグラム柄」が丁寧に刻印された存在感のあるネックレス。全体がシルバー調で統一されており、どの角度から見てもラグジュアリーな雰囲気をまとったデザインです。
加工前の状態とお客様のお悩み
長年のご使用により、チェーン表面は小キズやスレによって艶を失い、特に凹みの部分には黒ずみ(酸化)が沈着しておりました。また、一部のメッキ層が摩耗して下地の地金が見えており、ブランド本来の光沢感や清潔感が損なわれた状態でした。
こうした状態でも、「できる限り新品に近い状態に戻したい」というお客様のご希望を第一に、丁寧な研磨と高品質なロジウム再メッキで対応させていただきました。
加工工程と職人のこだわりポイント
パーツ構造を理解した上での分解・洗浄処理
このネックレスは見た目以上に構造が複雑で、各パーツが独立して動く可動構造になっているため、まずはチェーン全体の可動チェックを実施。その後、汚れや皮脂が入り込んでいた細部を手作業と超音波洗浄を併用しながら徹底的にクリーニングしました。
モノグラム刻印を残すための精密な研磨技術
チェーン一コマずつに入ったLVモノグラムは、このアイテムの命ともいえる意匠です。通常のバフがけで磨くと模様が消えてしまうため、回転バレル研磨ではなく、刻印を避けながら手作業で磨き分けました。
エッジを丸めず、刻印のシャープさを残しながら表面の傷・酸化層だけを丁寧に除去しています。
ロジウムメッキのムラ防止と密着性の確保
ロジウムは非常に硬質で光沢が強く、メッキとしてのクオリティも高い反面、下地処理が不十分だと剥離やムラの原因になります。今回はしっかりと前処理を行い、電解処理で厚めに・均一にコーティング。
チェーンの内側にも液が行き届くよう、治具に吊るす角度や電流の流し方を調整しながら慎重に仕上げました。
最終仕上げと光沢調整
メッキ後は全体を最終チェックし、必要に応じて軽く艶出し研磨を行いました。こうすることで、ギラつきすぎない自然な鏡面光沢”を演出し、高級ブランドらしい落ち着いた存在感に。
仕上がりと変化の実感
加工前のくすんだ印象から一転、まるでショーケースに並ぶ新品のような輝き*を取り戻しました。
ロジウムならではのクールでシャープな白銀色が、チェーンのボリュームやモノグラムの刻印をより一層際立たせ、重厚感と清潔感を両立した仕上がりとなっています。
また、表面が均一に整ったことで、着け心地も滑らかになり、見た目だけでなく使用感も改善されています。
■ 職人としての総括
このような高級ブランド品のリメイクや仕上げ直しは、「ブランドの品格を損なわず、むしろその価値を高める」ことが最大のテーマです。
特に今回のように構造・装飾・可動性・素材のすべてが揃ったアイテムでは、ひとつのミスも許されません。全体を丁寧に見極めながら、最適な方法で仕上げていく過程は、技術者としても非常にやりがいのある作業でした。
この度は、大切なお品をお任せいただき、誠にありがとうございました。
またのご依頼を心よりお待ちしております。
修理加工前
修理加工後


