FENDI ファイブリング。新品仕上げ+ロジウムメッキ、リメイク(リフォーム)&仕上げ直し修理

今回お預かりしたのは、FENDIを象徴する「FF」ロゴが連続して配置された、スタイリッシュで立体的なフォルムが印象的なファイブリングです。ミラーボールのような面取りやエッジの効いたデザインが際立ち、ファッションのアクセントとして人気の高いアイテムです。
■ 加工前の状態
リング全体にくすみと曇りが広がり、シルバー本来の輝きが失われていました。表面には細かな擦り傷が多数確認され、とくにリング内側やロゴの凹凸部分には汚れや酸化が蓄積しており、輝きが鈍く沈んだ印象を受けました。
「FF」ロゴのシャープな造形も曇りによってややぼやけてしまっており、本来の美しさが引き出されていない状態でした。全体的に摩耗と経年によるダメージが見受けられ、研磨・再メッキによる再生が必要な状態でした。
■ 加工内容とポイント
まずは超音波洗浄と細部ブラッシングによって、彫りの中やロゴの溝に入り込んだ汚れや皮脂を徹底的に除去しました。特にこのリングのような幾何学的デザインは、彫刻のラインを守ることが重要なため、全体を研磨する際にも角を丸めすぎないように注意深く作業しました。
下地処理では、微細な傷や凹凸を滑らかに整えつつ、ロゴラインのシャープさを損なわないよう手作業を中心にバランスよく調整。表面に光の通り道をしっかりと作った上で、ロジウムメッキを均一に施しました。
ロジウムは硬質で光沢が強く、耐久性に優れたメッキ素材です。このリングのクールで都会的な雰囲気とも非常に相性が良く、メッキ後はまるで新品のような明るく反射するシルバーの輝きが蘇りました。
■ 仕上がりの印象
くすみの取れたリングは、まさに“再生”という言葉がふさわしい美しさへと生まれ変わりました。表面のツヤは非常に均一で、光を柔らかく反射しながらも、デザインの立体感をしっかりと際立たせています。
「FF」ロゴが持つ構築的な美しさや造形の輪郭がはっきりと見えるようになり、仕上がりはまるでショーケースに並ぶ現行モデルのようなクオリティ。日常使いにもフォーマルなシーンにも映える、上品な佇まいを取り戻しました。
■ 職人としての感想
このファイブリングは、平面と凹凸、曲面が絶妙に入り組んだデザインのため、単に磨くだけでなく“造形を読み取る目”が求められる作業でした。角を落としすぎず、かつ均一にツヤを出すには経験と技術が問われる場面も多く、集中力を持って丁寧に取り組みました。
仕上がったリングを手に取ったとき、彫刻の美しさとロジウムの清潔感が融合し、非常に満足のいく仕上がりとなりました。
このように、経年によって曇ってしまったアイテムでも、丁寧な下処理とメッキ加工によって十分に美しさを取り戻せることを再確認できる一品でした。
修理加工前
修理加工後
ありがとうございました。


